2010/07/23

水の底のような街で

水面に月は晧々と照らし
川底で魚は水の悪口を言う
俺を乗せたバスはゆっくりと進み
誰かが呟いた
「安心したいんだ」



夜の底をバスは静かに通り過ぎ
信号待ちの少年がこちらを見上げる
痩せて背中を丸めたあいつは誰だった?
尋ねる声がする
「いくつ手放した?」

水の底のような街で


名もない街角で俺はバスを降り
長い帰り道を一人歩き始める
遠くで新しい雨が降り出した
また声が聞こえる
「欲しいものは何だ?」



水の底のような街で
2005.2.何かを待ちながら