6月のとある日曜深夜 玉川インター 今宵の第三京浜ハイウェイは月まで続いている カーステレオからのBGMは 大音量のマンボ ペレス・プラードはシンコペーションで 多摩川を軽々と飛び越え 叩きつけるピアノの不協和音は 一瞬ごとに世界の秩序を打ち壊し続ける 八分音符を満載した銀色のトラックが 追い越し車線を滑りぬけていく 鼻歌のディーゼルエンジンは 黒煙を吐きながら音速を超えて行く 左手には身長99メートルの 巨大なブラジル人が1人 競技場の縁に腰をおろして ボサノバを歌いながら 世界は狭すぎると嘆いている そして俺の70年式スバルは 後少しで静かの海にたどり着くかと思われたが ガス欠のためやむなく 保土ヶ谷インターで途中下車 こちら側の我が家にたどり着いた
2003.7.20
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